『Deep love』特集、まとめ。 はてなダイアリー - 成城トランスカレッジ!!より。

一気に全文読んでしまいました。爆笑の嵐!
ゲーム界ではがっぷ獅子丸先生やクソゲーハンター、ネット界では元祖バーチャルネットアイドルちゆ12歳などと同じく、現物に触れていないのにあたかも読んだかのように錯覚させるちからがあって素晴らしかったです。多分実際小説を読むよりも、chikiさんの突っ込みがないと面白みは半減すると思います。

ドッグヴィル見てきた。

以下思いっきりネタバレしてるのでまだ見ていない方は読まないでください。
見ていない方に言いますが、自称映画好きの方は絶対見ておいて損しません。娯楽作で十分という方は別に見なくて良いと思います。単純に嫌な感じになるだけだと思います。あとデートには全く適していないのでご注意ください。男も女も一人でこっそり見に行く映画です。


ラース・フォン・トリアー先生(以下ラスたん)の映画は前作がビヨーク主演の「ダンサー・イン・ザ・ダーク」だったし、「奇跡の海」もばっちり見ていたし、彼の名前を知った(日本で大きく紹介されたきっかけとなった)「ツインピークス」的ドラマ「キングダム」も見てたのでニコールさんがさぞ辛い目に会うだろうなというのは覚悟の上でした。実際すごい辛い目に遭うし、つうか自分が愛した男が辛い目に合わす原因作ってるし。事態が全然好転しないばかりか悪く悪くなっていくのは当たり前。そういう映画だというのは分かっていました。だから見ていて「まあ、こうなっちゃうんだろうな」という心のバンパーは働いていたのでどうにか見ていられました(でも彼女は辛くて途中で帰りたかったと言いました。当たり前です。3時間もあるし)。
ラスたんの映画の場合、主人公は周りの人に無差別な慈悲の心(一言で言うと「Deep love」ちがった「愛」)を抱くもののそれが全く報われずに、むしろそれを原因で命を落とすのがいままでのパターンでしたが今回は逆!皆殺し!!デストローイですよ。その決断をする直前まではそんなことしないでおこうかなとか思うのですが、例の男トムさんのせいで皆殺しです。彼の浅はかな考えがドッグヴィルの全員を殺してしまった。最後の最後で彼が自分を実験の駒としてしか見ていなかったのが分かって「そうか、人間ってそうなってしまうのか」と思って殺してしまう。「周りの人に無差別な慈悲の心」が裏返ってしまって「じゃあ殺そう!」ってなるのがもうすごく震えてるぞハート、燃え尽きるほどヒート。
というかラスたん、なんで考え方が180度変わっちゃったの?と思ってそこで心底震えました。あと主人公がいきなり絶対者になるのもすごいなと思ってしまった。いままで(ドッグヴィル以前という言い方もあるし、この映画に限っても8章以前とも言えるし)はあくまで人間として描かれていたのに、突然世界を自由にできる権力をもってしまう。話がスコーンと2、3歩進んでしまったのが楽しかったです。これは何度もみないとダメな映画だと思いました。
ただなんかそのいわゆるアメリカ映画的カタルシスをラスたんはやってみたかっただけでは、という危惧も無きにしも非ず。確かに前作はもう2、3日どころか一週間は後を引く嫌な後味を残していましたが、そういうものを観客に味わせないために虐殺してしまったのかな、みたいな考えもあるんですよね。実際のところどうなのかもう一回は見てみないと判断できません。
あとあの建物の境界をチョークで引いて、アクセントとなる家具をいくつか配置しただけの風変わりなセットもすごいと思いました。あれが無ければこの映画は成功しなかったでしょう。普通に建物の中でとったりしても妙な生々しさだけ滲み出てきて映画として楽しめなかったかもしれません。あーでもチャックがグレースを犯すシーンは村人の総意である、みたいな雰囲気があってすごい嫌でした。そういう意味でも成功ですね。
あと「ドッグヴィル」なんていうタイトルなんでもちろんキーワードは犬なんですが、後半パパが村人のことを犬と呼んだりして(でも虐殺で生き残るのは本物の犬だけというのは一体)押井守とは犬の扱いが全く違うなと思ってそこも面白かったです。

追記:はてなキーワードを手繰っていたら「トリアー監督はアメリカ嫌い」という記述が。となるとカタルシス云々という所はまったくの勘違いってことになりますが真相はいかに。